はなめがねサークル(コパ篇)
今日は毎月恒例のハナメガネサークルの日です。
今回は実相院と円通寺にいってきました。
実相院は左京区の岩倉に位置し、さりげなく存在していましたが、近寄ってみてるとビックリ!昔に地震でもあったのか、ガッツリと補修されていました。
外からはもちろん、中からもゆがみがはっきりと確認できるほど出ていて、痛々しい。
しかし、少し中に進んでみるとさらに驚きの美しさがそこにはありました。
戸口から入る深緑は、障子のやわらかなフィルターに通され、蒼く光を放ち、
鈍くも重く輝く板間に反射し、幽玄な光と色彩を放っています。
多くの時間、精進の積み重ねだけが生み出す寂びの輝きを、日本の美しさを感じずにはいられません。
その場に座り込んで、見とれていました。
移動。円通寺へ。
円通寺もどんっとその存在を示すことなく岩倉にひっそりと佇んでいます。
拝観手続きをすると住職がとても興味深い話しをして下さいました。
円通寺は特に借景の有名な庭園のある禅寺です。その背景には比叡山を臨んでいましたが、開発が進行し、景観問題を抱えています。
元来円通寺は写真撮影を禁止していたが、1994年以降は庭園のみ撮影の許可に踏み切ったのだと。
景観問題を抱えるが故の許可。これがなぜだか考えてほしいという。
さっそく庭へ。
感動した。
本物の借景がそこにあったからだ。
絵画的な構成に、見事な背景とそのトリミング。日本人の、庭師の、技の一つの集大成を見たような気がした。
あぁ今見ている景色こそが「借景」というものなのかと…
しかし、よく見ると肝心の比叡山に対して生け垣で隠れているところがある。
そうか…とまた考え込んでしまった。
ようするにこれは延命行為なのだと。
完璧なまでに整っていた景色は癌に侵されはじめた。「豊かな生活」という癌は増々その美しさを蝕み、死ぬ寸前にまでいたった。そのときそれは延命行為を行うしかなかったのだ。
撮影許可に関して僕が感じたことは、相反する二つの強い想いです。
この状況を何とかしたいと強く願う反面、どこかでもう手遅れだということを悟っている。
撮影許可はたしかに共感を得る広報ツールとしてはいくらかの効力を示すかもしれない。
しかし、撮影という行為は死に行く者の記録に過ぎないのではないかと。
ということ。
もしかしたら本当はもう死んでいるのかもしれない。
醜くなろうとも大切な景色を、文化を守ろうとする意志に、
ガガーン、ゴゴゴ、カーーン……
と、無常の鐘の音のように工事に励むクレーンの音が悲しげに鳴り響いていました。
今回は実相院と円通寺にいってきました。
実相院は左京区の岩倉に位置し、さりげなく存在していましたが、近寄ってみてるとビックリ!昔に地震でもあったのか、ガッツリと補修されていました。
外からはもちろん、中からもゆがみがはっきりと確認できるほど出ていて、痛々しい。
しかし、少し中に進んでみるとさらに驚きの美しさがそこにはありました。
戸口から入る深緑は、障子のやわらかなフィルターに通され、蒼く光を放ち、
鈍くも重く輝く板間に反射し、幽玄な光と色彩を放っています。
多くの時間、精進の積み重ねだけが生み出す寂びの輝きを、日本の美しさを感じずにはいられません。
その場に座り込んで、見とれていました。
移動。円通寺へ。
円通寺もどんっとその存在を示すことなく岩倉にひっそりと佇んでいます。
拝観手続きをすると住職がとても興味深い話しをして下さいました。
円通寺は特に借景の有名な庭園のある禅寺です。その背景には比叡山を臨んでいましたが、開発が進行し、景観問題を抱えています。
元来円通寺は写真撮影を禁止していたが、1994年以降は庭園のみ撮影の許可に踏み切ったのだと。
景観問題を抱えるが故の許可。これがなぜだか考えてほしいという。
さっそく庭へ。
感動した。
本物の借景がそこにあったからだ。
絵画的な構成に、見事な背景とそのトリミング。日本人の、庭師の、技の一つの集大成を見たような気がした。
あぁ今見ている景色こそが「借景」というものなのかと…
しかし、よく見ると肝心の比叡山に対して生け垣で隠れているところがある。
そうか…とまた考え込んでしまった。
ようするにこれは延命行為なのだと。
完璧なまでに整っていた景色は癌に侵されはじめた。「豊かな生活」という癌は増々その美しさを蝕み、死ぬ寸前にまでいたった。そのときそれは延命行為を行うしかなかったのだ。
撮影許可に関して僕が感じたことは、相反する二つの強い想いです。
この状況を何とかしたいと強く願う反面、どこかでもう手遅れだということを悟っている。
撮影許可はたしかに共感を得る広報ツールとしてはいくらかの効力を示すかもしれない。
しかし、撮影という行為は死に行く者の記録に過ぎないのではないかと。
ということ。
もしかしたら本当はもう死んでいるのかもしれない。
醜くなろうとも大切な景色を、文化を守ろうとする意志に、
ガガーン、ゴゴゴ、カーーン……
と、無常の鐘の音のように工事に励むクレーンの音が悲しげに鳴り響いていました。
by haruya95
| 2007-08-30 09:55
| 建築