近江楽座の可能性
「近江楽座」も今年で5年目を迎え、今日は昨年度のプロジェクト報告会に参加してきた。
建築や環境に関することから、資源、食生活、看護まで、様々なジャンルがそれぞれの地域で活動を行っており、改めて滋賀県立大学の専門の幅広さを実感する。
それぞれのプロジェクトもそれぞれに継続してきており、その積み重ねか、より深いポジションで動いているプロジェクトが多かったように思う。
あるプレゼンテーターとそれに対するコメントした人が感極まって涙を流していた。
そうした互いに涙を流せるまでに深い関係が築けていることはとても驚きであり、感動であった。
しかし、奥貫 隆教授もおっしゃっていたように、学生が活動する上での可能性と限界が示唆されたことは確かだ。
地域において、たいていの問題はそれとは別の問題と様々にリンクしている。
それゆえに、課題は複合的かつ複雑なものになってくるため、各分野を横断的に診断してこそ、よりクリティカルな課題が浮上してくるのだが、単一の専門分野のみの活動ではどうしても限界が現れてくる。
そこには、やはり他の専門分野との協力関係が必要となってくる。
この問題に対しては近江環人の場合、基本単位が個人であるため、個々の専門分野を基盤として、複眼的な視点を持つことで、各人が必要なネットワークを築ければいいため、協力関係は比較的築き易い。
しかし、近江楽座はプロジェクト自体が一単位であるためか、他の専門分野へのネットワークがうまく築けていないところが多い。近江楽座には現在21のプロジェクトが動いているが、リンクしていたのはわずか数プロジェクトのみ。
プロジェクトごとのリンクは以前から問題にされてきたが、まだまだ十分とはいえない。
発表時においても入れ替わり立ち替わりのプロジェクトが多く、一貫して聴講しているプロジェクトが少ないのが印象的だった。
こうした発表会にこそ、それぞれと連携しあえるチャンスがあるのに。
地域との連携はもちろん、学内での協力関係を築き、他のプロジェクトの専門性を生かし合うことができれば、さらに「もう一歩先」の可能性が見えてくるのではないかと思う。
また、それとは別の問題として、時間とのギャップがある。
そこに住み続けておられる地域の方に対して、大学に所属するカタチで関われるのは基本的には4年、院を入れても6年が限界であり、「地域の時間」と「学生の時間」との間には多きなギャップがある。
地域が長い年月を通して形成されるのに対して、学生が関わることのできる時間はほんのわずかだ。だからこそその時間のなかで何ができるか一生懸命になっているし、できることも多い。問題はそれを継続していけるかである。
仮にプロジェクトの継続が可能であるとして、それが「新規作成」になるか「アップデート」になるかでも大きく違うだろうし。後継者問題はこんなところにもある。
近江楽座の初年度にTTPとして関わって、活動を始めてから4年になるが
はたして「もう4年」なのか、「まだ4年」なのか、今はわからない。
もしかしたら「たった4年」かもしれない。
OBだしね。
いずれにせよ、地域との関係や考え方について、
少しずつ何かが変わり始めているのは確かであるように感じた。
近江楽座の「次の一手」やいかに。
久郷晴哉
by haruya95
| 2008-04-19 19:24
| 地域